トリプルPとは

前向き子育てプログラム「Positive(前向き) Parenting(子育て) Program(プログラム)」の頭文字が3つのPであることから、トリプルPと呼ばれています。

世界で最も効果的であると科学的に実証された子育てプログラムの一つです。

*現在、開催を予定しているグループトリプルPは、2023年2月トリプルP@三木町

トリプルPの誕生と現在

トリプルPは、幼児からティーンエイージャーまでの子どもの行動・情緒問題の予防と治療を目的におよそ30年前に誕生しました。プログラムの生みの親であるオーストラリア・クィーンズランド大学臨床心理学教授で家族支援センター所長のMatthew R. Sanders(サンダース教授)は、「前向き子育てで育つ子どもは、学業だけでなく、友情を築き、自分を好ましく思うために必要な技術を身につけやすい」、「大きくなってから行動や感情の問題を起こす可能性が顕著に低くなる」と言っています。

プログラムの目的は、家庭・学校・地域で子どもの問題が発生する前に予防すること、そして子どもたちの可能性を伸ばし、最大限に生かすために彼らを励ます家庭環境を作り出すことです。

トリプルPは子どもの問題行動の要因についての科学的な研究と臨床経験に基づいて開発され、現在、25ヶ国の政府や保健部門の専門家に採用されています。日本では2005年に導入され、現在40都道府県でトリプルPが実施されています。

 

前向き子育ての原則と子育て技術

前向き子育てには、大きく5つの原則があります。

トリプルPはこの5原則を基礎として、17の子育て技術の理解・実践へと発展するように構成されています。障害のある子どもの場合、5原則に「子どもの障害に適応する」「地域社会の一員になる」を加えて、7つの原則としています。

トリプルPの五原則

親が身につける技術

プログラムの特徴

トリプルPは、自己統制(自分で考えて行動し、問題解決できる力)に基づいて構成されていることが特徴です。子どもに対しては、感情への自己統制力を育成することを、親に対しては臨機応変に自分で対応できる問題解決者になることをねらいにしています。つまり、子どもの成長や家庭の状況に合わせて、対応を柔軟に変えていく応用力を身につけることができるのです。

また、プログラムは親の参加体験型学習を基本としています。教材のビデオで子どもの問題行動を引き起こす子育ての例を見ることや他の参加者と語り合うことを通して、自分自身の育児を客観的に振り返り、多くの「気づき」を得ることができます。そして、多くのロールプレイや具体的な言葉かけの練習を通して、実際に何をすべきかを学ぶことができます。学んだことを家庭で実践し、子どもが少しずつ、時には驚くほど変わるのを見ると、子育てがぐっと楽に楽しいものになるでしょう。

何を獲得するか

トリプルPのシステム

トリプルPは様々な親のニーズに対応できる強度の異なるレベルの支援を用意しています。

一般的な子どもへの対応法などを新聞やラジオなどのメディアで伝えるレベル1、トリプルPをセミナー形式で多人数を対象に行うレベル2、育児相談などの形で個別に特定の問題に対して継続的に対応するレベル3、集中的に子育ての技術が学べる連続講座のレベル4などがあります。また、障害児の親に対応したコース(ステッピングストーンズ・トリプルP)もあります。

5段階の介入レベル

例えば、レベル4では、前向きな子育てや子どもの発達を促す方法や問題行動への対応方法を学び、学んだ17の技術を家庭でどう使っていくかを親が計画を立てて実行し、ファシリテーターが電話で個別に支援します。

レベル4グループトリプルP

トリプルPのメリット

第一に、親のストレスを減らし、子どもへの適切な対応を促します。プログラムにより、親が子どもの問題行動の原因に気づき、子どもと良い関係を築き、子どもの好ましい行動を育てる方法を具体的に学ぶことで、子どもは問題行動を起こしにくくなります。結果的に親のイライラを減らし、子どもへの感情的な𠮟責や手をあげるなどの不適切な対応を減らすことができます。

第二に、もし問題行動が起こった場合、どのように対応すれば良いかを学ぶことで、問題行動が繰り返されることや、大きくなることを防ぎます。

第三に、子どものコミュニケーションの能力を高めることや、その子が持っている能力を引き出す環境を親が日々の関わりの中で工夫できるようになることです。

最後に、トリプルPにより、発達障害を早期に発見し、専門機関に相談するなど、親が適切に対応することで、子育ての負担軽減だけでなく、学齢期や思春期への移行に備えられます。

発達障害は、子どもが小さいうちに発見して適切な対応をすることで、より軽い症状で経過し、抑うつや非行などの二次障害を予防し、子どもの能力を伸ばすことができます。グレーゾーンの子どもの親への支援にも有効で、保健師や子育て支援従事者がトリプルPを学ぶことで、育児支援の質の向上が期待できます。

 

トリプルPについてもっと知りたい!

ここでは書きつくせないほど、トリプルPは魅力的で奥深いものです。トリプルPについてもっと知りたい!参加してみたい!ファシリテーターになりたい!と思った方はぜひ、一度、NPO法人トリプルPジャパンのホームページを訪れてみてください。トリプルPの詳細や参考書が載っています。

それぞれの親子に合わせた育児の方法に変えていくための考え方や具体的なスキルを学び、子どもの自尊心を育み、育児を楽しく前向きにしていくために、一緒に考えてみませんか?

ぜひ、お近くで実施されているトリプルPセミナーやグループトリプルPにご参加ください。

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